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Wolters Kluwer「Future Ready Lawyer 2026」調査——AI 活用が法律業務の標準ツール化、競争力の主要決定因子に
法律・コンプライアンス分野の大手情報ベンダー Wolters Kluwer が「Future Ready Lawyer 2026」調査レポートを公表した。AI ツールの法律実務への採用が急速に標準化が進んでおり、AI 活用の有無が事務所・企業法務部門の競争力を分ける主要因子になりつつあることが示された。
概要
Wolters Kluwer は毎年実施している法律業界の未来志向調査「Future Ready Lawyer」の 2026年版を公表した。法律事務所・企業法務部門の約 700 人を対象にした調査で、AI ツール(リサーチ・契約レビュー・判例分析・文書生成等)の採用が急速に標準化しており、「AI を使いこなせること」が弁護士・法律事務所の競争力を左右する最重要スキルになりつつあることが明らかになった。
事実のポイント
- 主な調査数値(2026年版・公表データ):
- 回答者の 74% が AI ツールを日常業務で少なくとも週に 1 回以上使用
- AI 採用により業務効率が「大幅に向上した」と答えたのは 58%(前年比 +14%)
- 5 年以内に AI を「重要な競争優位」と位置づけた回答者は 81%
- AI 活用が「遅れている」と自認した事務所の 67% が人材確保に課題感を持っていると回答
- 高採用領域:
- 判例・法令リサーチ(89% が何らかの AI ツールを利用)
- 契約書レビュー・ドラフト作成(71%)
- 規制コンプライアンスのモニタリング(64%)
- クライアントコミュニケーション下書き(53%)
- 懸念事項:
- AI アウトプットの正確性検証(58% が課題と回答)
- 秘匿特権(Attorney-Client Privilege)とのデータ取扱い(52%)
- AI ツールの習熟に要する研修コスト(47%)
用語・背景の補足
Wolters Kluwer: オランダに本拠を置く法律・金融・税務・医療情報の大手プロバイダー。法律情報では VitalLaw・Kluwer Arbitration・ELF(Expert Legal Forum)を提供し、Thomson Reuters(Westlaw)・LexisNexis(Reed Elsevier)と並ぶ業界大手の一つ。
Future Ready Lawyer: Wolters Kluwer が毎年実施する法律業界の将来展望調査。2017年から継続しており、法律事務所・企業法務・公的機関の弁護士・パートナー・CLO を対象にテクノロジー活用・組織変革・人材戦略を調査する。
秘匿特権(Attorney-Client Privilege): 弁護士とクライアントのやり取りの秘密性を保護する法律上の権利。AI ツールにクライアントの機密情報を入力した場合、そのデータがサービスプロバイダーのシステムに保存・処理されることへの懸念が法律業界で高まっている。
注意点
- 調査は Wolters Kluwer が自社のサービス提供に利害関係を持つ立場で実施しており、AI 採用を促進する文脈で数値が強調されやすい点に注意が必要
- 調査対象・地域(主に北米・欧州)が特定地域に偏っており、日本の法律事務所への直接的な当てはめには慎重な解釈が必要
- AI 採用率の高さが必ずしも業務品質・顧客満足度の向上に直結するかは別途検証が必要
編集部見解
(追記予定)
info 公開情報をもとに編集部が再構成したサマリです。一次情報・追加情報は出典欄をご参照ください。