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メキシコ議会がAI包括規制法案を提出——著作権・AI労働保護の改正案も下院を通過
メキシコ連邦議会にAI包括規制法案「Ley Federal de Inteligencia Artificial」が提出された。同法案は高リスクAIシステムの届出・監査義務を定めるもので、並行してAI生成コンテンツの著作権保護とAI技術者・オペレーターの労働権保護を定める改正案も下院を通過している。
概要
メキシコ連邦議会(上院)は2026年5月26日、AI包括規制法案「Ley Federal de Inteligencia Artificial(LFIA)」の審議を開始した。同法案はEUのAI規制法に類似したリスクベースアプローチを採用しており、高リスクAIシステムの使用者に対して政府機関への届出と独立した監査の受け入れを義務付ける。並行して、下院ではAI生成コンテンツの著作権処理ルールを定める著作権法改正と、AIシステムの運用・監視業務に従事する労働者の権利を保護する連邦労働法改正が通過した。
事実のポイント
- LFIA の主な規制対象: 採用選考AI・信用スコアリングAI・刑事司法で使用するAI・医療診断AIを「高リスク」に分類
- 高リスクシステムの事業者は、商務省(Secretaría de Economía)傘下に新設される「AI監督庁」に事前届出が必要
- 禁止されるシステム: ①感情認識を採用・解雇判断に利用②社会信用スコアリング③大規模バイオメトリクス収集(EU AI Act に準拠)
- 著作権法改正: AI 学習に利用した著作物の利用許諾取得とロイヤリティ支払いを義務化(適用対象・税率は施行規則で詳細化)
- 連邦労働法改正: AIシステムの監視・訓練業務に従事する労働者のアルゴリズム的な一方的解雇を禁止し、異議申し立て権を付与
- 上院での最終採決は2026年秋のセッションを予定。施行は2027年以降とみられる
用語・背景の補足
リスクベースアプローチ: AIシステムを用途・影響範囲に基づいて「禁止」「高リスク」「限定リスク」「最小リスク」に分類し、リスクの高いシステムほど厳格な規制をかける手法。EU AI Act が採用しており、多くの国の規制設計に影響を与えている。
アルゴリズム的解雇(Algorithmic Dismissal): AIシステムが人間の確認なしに自動的に労働者を解雇・契約終了する仕組みを指す。配達プラットフォームや倉庫作業などで問題化しており、複数の国で規制の動きがある。
ラテンアメリカのAI規制動向: ブラジル(AI法が2025年成立)、チリ(AI倫理基本法が2026年初頭施行)に続き、メキシコが主要3カ国目のラテンアメリカ包括規制国となる見込み。
注意点
- 法案は上院での審議段階であり、修正・否決の可能性がある。最終テキストは現時点の案と異なる場合がある
- 著作権改正のロイヤリティ水準や監査費用など、実務への影響は施行規則次第の部分が大きい
- 大企業(特に国際的なIT企業)がメキシコ市場での事業展開に際してこの規制をどう織り込むかは、国内中小企業にとっても参考情報となる
編集部見解
メキシコの動きは、AI規制がEU・米国にとどまらずグローバルサウスにも広がりつつあることを示す。著作権保護とAI労働者権利を同一パッケージで扱う立法設計は、「AI開発の恩恵と負担を誰が担うか」という問いへの政策的回答として注目に値する。
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